経営者のための営業組織改革コンサルティング|営業の技術ブログ

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2019年04月08日|「営業担当者」の主たる役割は「編集者」になる?

最近、眼鏡を買いました。
これまで裸眼だったのですが、義父の老眼鏡をかけるとびっくりするほどはっきり見えたのをきっかけに、眼鏡を購入することになりました。
近所のショッピングモールに行き、入念な検査を経て、度数等を決定、メガネフレームも安いモノから気に入ったものを選びました。

眼鏡をかけ出すと、これまで如何に見えていなかったを再認識する機会が多くなり、遠くの景色もはっきり見たいと思うようになりました。
そこで1か月もたたないうちに、新しい眼鏡購入に再び同じ店に伺いました。今回も同様の検査を経てメガネフレームを選ぶという段階になりました。

正直、選ぶのって面倒くさいんですね。フレームの多さたるや。
自分自身になにが合うのか良くわかりません(何しろ眼鏡初心者ですから)。
すると、担当者が素敵なチョイスを2、3点「レコメンド」してくれました。
値段は最初の眼鏡の3倍以上の高額帯(あくまで私の主観に照らしては…)。
しかし直ぐに購入を決定。満足した気持ちで、眼鏡屋さんを後にしました。

こうした「状況」は、恐らくどんなビジネスシーンにも普遍的に存在する顧客心理だと思われます。
最近は『なぜ「それ」が買われるのか?』朝日新聞出版,2018年にも、「選ぶのが面倒」という顧客心理についての分析が記載されています。
私の場合、あまりに選択肢が多いため、「選ぶ」基準そのものがわからないのです。
「選ぶ」基準を適切に絞り込み、提示してもらえれば。言い換えれば「編集」して貰えれば、顧客は「購入」出来るのです。

知識ある顧客は、既に選択基準を持っているのですが、新たに市場に入る顧客は、選択基準を持つまでの経過を助けてもらう必要があります。
それこそこれからの「営業」の仕事なのではないでしょうか?
営業力強化研究所

2019年04月01日|働く目的とは何か?

昨日、妻の友人から御祝返しの品として、我が家の娘が大好きないちごが届きました。
「いちご届いたよ~」という言葉に大喜びの娘。
しかし包みを開けると傷みがひどく、「これ食べられないね…」という言葉に落ち込む娘。
ある百貨店系列スーパーの果物コーナーから発送されたものでした。
現場の方が、商品状態を確認せずに、包装・送付してしまったのでしょう。

これ自体は業務オペレーション上、少なからず発生するミスのひとつです。
本来、ルールに従って検品され、傷みが確認された時点で棚から外せたはず…(予防点①)。
たとえ予防点①で漏れたとしても、贈答包装する際に排除できたはず…(予防点②)。
そもそも担当者が、美味しいいちごを御客様に食べてもらいたいという「想い」があれば、商品が傷むより前に購入を促せたはず…(予防点③)。

これだけの予防点をかいくぐり、我が家に届いた「いちご」。
棚に並べられたいちごも、単なる商品のひとつなのでしょう。
どのいちごが売れようが、果物担当者にとってはどうでもいいことなのかもしれません。
売れなければ廃棄し、損失は原価(仕入値)で計算すればいいのかもしれません。
贈る人、贈られる側の気持ちはどこにも反映されず、「商品」として包装され、配送業者に託され、届けられたいちご。

改めてミス発生要因を考えてみると、単なる「作業」と化してしまった「仕事」にその要因があるのではないかと考え至ります。
私自身が知る範囲のなかでも、多くの人達が、日常の仕事の「目的」を考えることなく、ただ淡々と「こなしている」に過ぎないという印象を持っています。問題は従業員のみならず、経営陣でさえ同じような行動様式に陥っている現状です。

自身の会社が何故存在するのか。どのような役割を担うべきなのか。どうありたいのか。
そうした本質的かつ根源的な「目的」を明確化することなく、売上・利益のみを追い求める結果、何故自分達が日々の仕事を遂行しているのかの意味を見出すこともなく、ただ作業をこなすことに必至になり、先のような事象が生起してしまう。

経営者は、こうした現実を直視すべきではないでしょうか。
こう言ってしまえば元も子もないかもしれませんが、売上や利益は単なる結果に過ぎません。
顧客への価値提供プロセスが、単なる「作業」と化してしまっている現実を認識し、改善しなければ、売上や利益もついてはきません。
経営者は、真剣に「働く目的」「会社の存在目的」を問い直してみる必要があるのではないでしょうか?

先のような単純な業務オペレーション上のミスも、実は問題の根が深いのかもしれません。

営業力強化研究所

2018年10月01日|経験の「抽象」化

統計上、社会人になって同一企業で定年まで働き続ける人の割合はおよそ50%。
つまり労働者人口の半数は転職経験者ということになります。

経営という役職には、経験の「抽象」化が重要だと感じています。
特に、中小企業において大企業出身者が転職を経て経営層に合流することが多いように思います。
私がこれまで接してきた大企業出身者は、総じて、「自分」の能力と「会社」の能力の相対化が図れていないように感じています。

例えば、営業現場で発言される「もっとお客さんのところに足を運べ」という正論。
確かに顧客接点でしか付加価値(売上・収益)が創造されないことから考えれば、至極当然の指摘ではあります。
しかしながら、結局、お客さんのところへ足を運ぶためには、その他の業務を犠牲にする必要があります。

大企業では経営資源が中小企業に比べて豊富にあります。
例えば「営業」業務に対する「アシスタント」業務。
受発注業務を支援してくれる「情報システム」部門。
商品説明などの提案書等を準備してくれる「商品企画」や「マーケティング」部門。
いずれにせよ、「営業」業務に集中できるような体制が整っているのです。

つまり自分自身の「経験」を、中小企業においても「前提(デフォルト)」としてしまっているのです。
中小企業は、良くも悪くも「社長」によって変わります。
特に今後、事業承継やM&A等による「社長」交代がかなりの割合で起こってくるなかで、「経営」に携わっていくためにも、自分自身の「経験」を如何に「抽象」化し、自身と会社の能力を相対化出来るかが、事業成長の「キモ」になるものと考えます。

営業力強化研究所

2018年09月30日|定性情報の言語化・イメージ化と伝達

現在居住している地域は、大学院時代を過ごした閑静な住宅街。
古くからの住宅街でもあるので、どの家も比較的余裕のある庭を有しています。
朝散歩をしていると、この季節は金木犀の香りや、鳥のさえずりが心地よく聞こえてきます。
少し離れると近郊農家の田んぼが収穫期を迎え、稲穂がたわわに実っています。

週末になるとよく不動産情報が投かんされるのですが、
住宅のスペックに関する情報はとても細かく記載されていますが、前述の定性的な「周辺環境」に関する記述はほとんどありません。
もちろん言語化することが極めて難しいので、表現のしようがないというのが実態だと思いますが、非常に重要なファクターであることは間違いありません。

恐らく、製品やサービスを選択する、あるいは提供する場合も、住宅における周辺環境と同じく、製品・サービスといった定量的に示される情報以外に、付随する定性情報があるはずです。
この情報の整理、言語化、イメージ化をどこまで図れるのか。またその情報を、顧客に伝えたり、取引先から入手したりできるのかを心掛ける必要があると思います。

フィリップコトラー曰く、「我々は現在、顧客が主導権を握る顧客経済の時代に生きている。これは製品生産能力の過剰からもたらされた結果である。不足しているのは製品ではなく、顧客なのだ」と。
企業が主役、あるいは製品が主役の時代から、顧客が主役の時代になったということは、「顧客」に自分を知ってもらうために、如何に自分を知るか。そしてそれを伝えるか。
この取り組みが、技術革新、製品づくりに増して重要になってきているように思います。
営業力強化研究所

2018年09月29日|高いモノにはワケがある

来春の幼稚園選択が10月1日にスタート。
希望する近隣の幼稚園では面接があるらしく、フォーマルを購入するため百貨店に。
いくつかのブランドを見て回ると、ファミリアに良い感じの組み合わせが提案されていました。
価格は2万円弱。
さすがに高いなとは思いましたが、上手くコーディネートされているし、年末年始で着る機会もあるだろうと第一候補に。
妻にどうかな?と聞いたところ、ちょっと高いな~という反応。
数日後、妻は西松屋と赤ちゃん本舗をはしごして、5千円弱で素敵なコーディネートを購入してきました。

良い買い物をしてきた後の妻のコメントが秀逸。
「営業」を考えるうえで、とても勉強になる一言だったのでここに備忘。
「組み合わせを探すのが面倒くさいんだよね…」

実はファミリアでの2万円弱の組み合わせは、まさに幼稚園の面接用に向けて、きちんとプレゼンテーションされたものでした。
つまり、その地域の行事をきちんと調べ、かつ購入者の困りごと、つまり2歳児の面接向けのフォーマルセットを準備して提供し、どうやって揃えようかと悩んでいる親初心者に向けて課題解決提案を行なった完璧なものでした。

もちろんファミリアは、全ての組み合わせを自社ブランドで揃えているからこそできるプレゼンテーションだったのかもしれませんが、当然、赤ちゃん本舗でも、国民的行事となっているハロウィンの飾りつけと並行して、地域行事を調べて同様のコーディネートをいくつか準備しておくだけで、こうした需要を確実に捉えられたかもしれません。
そういった意味で、「付加価値」というのは「提案力」でもあるんだな…と感心した出来事でした。

自社の製品を「売れる」ようにするのは、「商品力」だけではなく「編集力」にこそあると実感した瞬間でした。
我が家の妻は凄腕のコンサルタントです。

営業力強化研究所

2018年09月28日|選択と集中

会社の資源(ヒト・モノ・カネ・情報)は有限です。
だからこそどこに資源を集中すべきか、常に判断することが「経営」の根幹だと思います。この「集中」という行為を行うためには、必ず「選択」が必要となります。

私は「選択」をする際、次の二つの視点で「集中」すべき個所を検討します。
1.「100」は何か?
2.ボトルネック(制約条件)はどこか?

会議等で議論をしていて、些末な議論に終始することが多々あります。
これはまさに「100」を認識出来ていない。あるいは意識していないことが原因だと思います。
例えば、今年度は売上500億必要だが、今読めている数字は420億。80億足らずだが、これを積み上げるためにどこを対象に、どんなアプローチをすれば良いだろう?可能性の高い、あるいはボリュームの大きいところから考えよう…となるのが一般的だと考えます。

しかし、会議になると何故だか「合理」が消え、「感覚」が優先されるのです。
それぞれの会議参加者ごとの「感覚」で優先付けが行われているので、全く議論が噛み合わなくなります。
こんな時、相手の感覚による議論に巻き込まれてしまってはいけません。

あくまで議論すべき全体の「100」は何か。つまり500億円で420億は確保できているんですよね!じゃあ残り80億の話をすればいいんですよね!80億を積み上げるための材料はいくつありますか?15件ですね。ボリュームの多い順番に並べてみてください。一番は30億、次は20億…。じゃあ最もボリュームの大きい30億の案件の課題はなんですか?解決策を皆で出しましょう。じゃあ、解決策は検討出来たので、それぞれどういう取り組みをしましょうか?その取り組みは誰がいつまでにやりますか…。じゃあ次に20億の案件ですが…
という感じで、優先順位を明確につけ、議論を整理し、課題と解決策、担当と納期を明確化していく。

たったこれだけのコトにも拘らず、「自分のやりたい仕事」と「自分がやれる仕事」を優先するのが人の常。
だからこそ、仕事全体の「100」の構成割合を常に意識し、どのパーツの話をしているのか?議論していないパーツはないのか?各パーツの議論は十分なのか?といったことで「集中」すべき業務を明確化していくことが必要です。

二つ目の「ボトルネック(制約条件)はどこか?」については、エリヤフゴールドラットの「ザ・ゴール」に詳しく出ていますが、会社のアウトプットは、いつもたった1点の制約条件に決定づけられているという理論です。
確かに顧客アプローチからはじまって、面談して、受注して、開発して、製造して、納品して、請求書送って、入金確認してっていう、社内の全業務は一本の線上に乗っかっています。その内一番弱い個所が、会社全体の強さの基準となる…のだから、その制約条件に資源を「集中」して解決を図ることが重要だと考えます。

結局のところ「感情」ではなく、如何にロジックで議論するのか?
同じ目的に向かって仕事をしている仲間と、感情的な議論をしても何のメリットもありません。
このコントロールを的確に行うことこそが、経営・管理職に求められている能力だろうな…と考えています。

営業力強化研究所

2018年09月27日|「顧客志向」と「顧客不在」

私の最初の会社での勤務形態は直行直帰でした。
毎朝、自宅を出発し、顧客を複数営業訪問、そして帰途につく。
当時日本全国にいる営業担当者全員が同じ行動形態をとっていました。
会社の同僚と顔を合わせるのは、チームミーティングが月一回。全体ミーティングは年二回程度だったように記憶しています。つまり実働240日で換算すると、14日間(6%)が社内、残りの226日(94%)は「顧客」と一緒にいたわけです。

今から思えば、この物理的環境こそが「顧客志向」の実現を支援してくれていたように思います。何故なら、多くの企業では、営業担当者であっても、社内に在席している時間が非常に長く、「顧客」を意識的に考える・想う時間はその分少なくなります。この影響かどうかはわかりませんが、会議等に参加して感じるのは「顧客」が見えないこと。議論の中心が自社の都合ということがほとんどだったりします。

実は、この無意識(習慣)の力は、非常に影響が大きいのです。
脳が処理する情報量は膨大なのですが(毎秒1000万ビットとも10億ビットとも4000億ビットとも言われています)、自身が「意識」的に処理しているビット数はわずか20ビットあるいは100ビット、2000ビット程度で、無意識下での処理量と比較すると微々たる数値となります。

つまり「会社」で過ごす時間が多ければ多いほど、「顧客」に意識を向けることは少なくなり、結果として社内での会話に「顧客」がほとんど登場しなくなってくるわけです。

如何に意識的に「顧客」との接触を確保するのか。
経営層が「仕組化」で支援しなければ、実現は極めて難しいと思います。
誰が会社に「キャッシュ」をもたらすのか。
誰のために自社の設備や技術やサービスが存在するのか。
おのずと答えは見えてくると思いませんか。

営業力強化研究所

2018年09月26日|最初に相談する人物

営業という世界でとっても尊敬している先輩がいます。
もともとは大学の先輩から、生命保険の営業として紹介されました。
紹介されたのはもう20年前のことになります。

先日、その方が転職されて20年が経過し、かつ入社以来1度も欠かすことなく社長賞を受賞していたことを風の便りで知りました。そんな凄い実績を出し続けるオーラを全く感じさせないのは、ほんとに凄いことです。

何が凄いかって、いつも金融・保険に関わる困りごとがあるたびに、真っ先にその方に電話してしまう自分がいます。
それくらい金融・保険のことをよくご存じで、的確なアドバイス・紹介を下さいます。

もちろんほとんどの相談は、その方の営業成績に全くつながらないことばかりです。
でも一番最初に相談する信頼できる相談役なんです。
電話をかけても嫌な顔一つしませんし、すごく早くレスポンスを下さるのです。

恐らく「営業」という仕事は、自身が働いている業界・分野に関することならば、顧客から相談を受ければほとんどのことを解決に導くだけの知識・人脈を有していることが「理想形」ではないだろうかと朧気ながらに考えています。
それは、実は「営業」に限らず、「製造」も「技術」も「経営」も全く同じではないかとも感じています。
なぜなら自分の技術や能力は、誰か他者の役に立って初めて「有益」になり得るからです。

少なくとも自身が人生の大半を過ごしている業界・分野に関する情報は、どんな顧客よりも容易にアクセスできるはずです。そういった情報を、「会社」の「売上」のために活用するのではなく、「顧客」の「問題解決」のために活用することこそが、結果的に「自分の営業成績」に繋がり、「会社の業績」を押し上げる、最も近道なのではないでしょうか。

営業力強化研究所

2018年09月25日|ブログ再開

ブログをHP上に開設してから早5年。
ほとんど更新することなく、開店休業状態でしたが、
定期的なアウトプットが、思考を整理するのにとても大切だということを最近強く認識したこともあり、思い切って過去の投稿を全て削除したうえで、ゼロから…いやマイナスから再スタートすることにしました。

先日、御一緒したあるメーカーさんとの会話の中で、新たな気づきがありました。
「この作り方をしたら5円安く作れます!」という提案。
「じゃあ3000円の商品を2995円で売って誰が喜ぶの?」という質問。
「うちは5円儲かるじゃないですか?」という返答。
「じゃあそれでお客さんは喜ぶのか?」というやり取り。

ある提案を考える際、それが「誰か」だけの得になることの気持ち悪さを感じること…がとても重要なんだなという発見。
「顧客」にとっても「自社」にとっても、互いに「得るもの」がある提案。
これを考える提案できることが、真の意味で「顧客志向」なんだろうな…と思った会話でした。

営業力強化研究所